日々の経理業務をもっと手軽に行える方法はないものか。
このページをご覧になられているということは、少なからず今の経理業務に不満をお持ちなのではないだろうか。
私は副業での収入については日々の経理処理は会計事務所に外注せず、クラウド会計ソフトを利用してすべて自分で作成している。
当然、確定申告書類についても同様だ。
自分で処理するのは面倒、、、という気持ちは理解できるが、昨今のクラウド会計ソフトは非常に良く作り込まれており、会計知識がほとんどない方でも簡単に扱うことができる仕様になっている。
会計事務所にしてみれば、間違いなく脅威的な存在だ。
ここではクラウド会計ソフトの中でも最も評価が高く有名な「MFクラウド」と「Freee」を徹底的に比較検証するので、それぞれの特徴を見比べつつ、クラウド会計ソフトの魅力を確認してほしい。
MFクラウドとfreee(フリー)の違い
まず、クラウド会計ソフトの2強と言われている「MFクラウド」と「freee」の特徴大まかにまとめると以下の通り。

会計知識がある程度あり、一般的な仕訳の仕様について慣れている方であれば修正作業が簡単な「MFクラウド」。
会計知識がゼロなら「freee」の「完全自動仕訳機能」が大いに役立つ。
両者の違いはザックリまとめるとこんな具合だ。
では、ここからは各機能・サービスの詳細を確認していく。
自動取り込み
クラウド会計ソフトが便利な理由の一つは、過去取引のデータを自動で取り込める機能が備わっていることだ。
この機能のおかげで手入力によるミスを防止でき、登録作業も大幅に短縮できる。
MFクラウド
MFクラウドでは、過去のオンラインバンク取引やクレジットカード取引のデータを自動で取得することができる。
連携可能な金融機関は3442行もあり、普段あなたが使っている取引銀行も必ず見つかるはず。
また、クレジットカード会社数も121社と幅広く、よほどマイナー企業でない限り、データ自動取得を行えるだろう。
データの自動取得機能を最大限に活かすために、日々の取引はクレジットカードで決済することをオススメする。
また、銀行口座もクレジットカードも個人使用と事業使用とで使いわけることで、取り込み作業がよりスムーズになる。
freee
こちらも同じくオンラインバンク取引やクレジットカード取引データを自動取得できる機能搭載している。
連携している金融機関数は1949行、クレジットカード会社は59社となっており、MFクラウドと比較すると少なく感じられるが、メジャーどころはしっかり押さえてあるのであまり問題にはならない。

仕訳機能
続いて、「仕訳機能」について詳しく見ていく。
ここは両者の開発コンセプトが大きく異なる点だ。
MFクラウド
MFクラウドでは、取得したデータから勘定科目を自動で提案する機能がある。
例えば、「〇〇銀行で発生した10円というのは、「利息」だと思われるので勘定科目は「受取利息」になるのではないか?」といった感じで取引に適切と思われる勘定科目を提案してくれるのだ。
そのため、あなたがやる仕事は「この勘定科目が正しいかどうか」を判断するだけ。
提案された内容で問題なければ「登録」ボタンを押して仕訳は完了。
勘定科目が妥当でなければ適切な仕訳を学習させることで、次回以降はより精度の高い自動提案につなげることができる。
使えば使うだけ精度が上がり、使いやすさが磨かれていく仕組みだ。
残念ながら、MFクラウドにはFreeeが持つ「自動登録」の機能は搭載されていない。
登録の際は、帳簿付けの前に「登録」ボタンを押す作業が必要となるが、それをいくらか解消できる「一括登録」という機能がMFクラウドには備わっている。
これによって、1度の50個までまとめて登録することが可能となる。
freee
自動提案についてはMFクラウド同様、適切と思われる勘定科目を提案してくれるので、同じくあなたがやることは「勘定科目の妥当性」を判断することだけだ。
独自機能「自動登録」
freeeの最大の特徴は、その独自機能である「自動登録」だ。
データを取り込み、提案された勘定科目をチェックすることは大切な作業だが、光熱費や通信費など毎月必ず発生する科目や特定の取引先情報(仕入れ先など)はその都度チェックするのは面倒な作業。
そこで出番が「自動登録」という機能だ。

画像の右上にある「自動化」という欄にチェックを入れて登録することで、データを取り込んだ段階で取引内容が同じ明細は全自動で帳簿付けされることになる。
そのため、わかりきった取引は、毎回仕訳内容を確認する手間が省くことができる。
これは経理作業の負荷を大きく下げることができる優れた機能と言える。
手入力
自動仕訳機能に焦点を当てるとfreeeの「自動登録」は大変魅力的な機能だが、実務では「手入力」も必要になってくるので、この点に関しても両者の特徴をしっかり比較していく。
MFクラウド
こちらは複式簿記(借方貸方形式)で入力することができる。

会計知識がある方にとっては馴染みのある仕様のため、すぐに使いこなすことができるだろう。
また、より直感的に使える「簡単入力」という機能も備わっているので、好みによって使い分けると良い。

ちなみに、「複式簿記」で入力するのであれば簿記3級ほどの基礎知識が備わっていれば十分だ。
作業効率を考えたら、「簡単入力」はあまり使わない機能かもしれない。
freee
freeeは「会計知識がゼロでも確定申告ができる」というコンセプトで作られたソフトであり、会計的な概念から少し離れた仕様となっている。
そのため、「借方」や「貸方」といった区分けがされておらず、複式簿記での入力はできない。

入力画面も直感で選択できるデザインとなっており、初心者の方でも迷わず必要な情報を見つけることができるメリットがある一方で、複式簿記に慣れた方には使い勝手がいまいちに感じてしまうこともあると思います。
さらに、相手方勘定科目では「現金」か「口座」しか選択できないことから、
という仕訳も、
事業主貸 〇〇円 / 当座預金 〇〇円
のような書き方で対応する必要がある点も認識しておくと良い。
仕訳作業の評価

仕訳機能については、使い慣れた複式簿記仕様で入力ができる「MFクラウド」を選択するか、会計知識不要ということで完全自動登録できる「freee」を選択するか判断が分かれるところ。
私としては、簿記3級程度の会計知識はビジネスにおいて必要不可欠であり、確定申告の有無に限らず習得すべき知識だと考える。
それさえ克服できてしまえば、複式簿記で入力できるMFクラウドの利便性も享受することができる。
利用料金とサポート

料金面は、MFクラウドの「ベーシックプラン」とfreeeの「スターター」を比較した場合、若干ながらMFクラウドのほうが安いが、目を見張るような大きな差はありません。
ただし、MFクラウドの利用者に限っては、確定申告が初めてで不安であればMFクラウドの「安心電話サポート付きプラン(17,200円/年)」を選択し、初年度は電話で色々解説してもらい、要領を得てから2年目以降「ベーシックプラン(8,800円/年)」に戻すという選択をすることが可能だ。
freeeの場合電話サポートがついてくるのが「プレミアム(39,800円/年)」というプランしかないため、ここで大きな料金差が出てくることになる。
まとめ
MFクラウドとfreeeとでは開発コンセプトが大きく異なるため、どちらのコンセプトに賛同するかだ。
複式簿記が普及しきった世の中なのでfreeeのような斬新なコンセプトを受け入れられない方もいるだろうが、見方を変えれば複式簿記形式で入力しなくても経理処理を行うことができることをfreeeは実証している。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、最後はあなたが実際に使ってみて、どちらがしっくりくるかで判断するのが最も良い。
MFクラウドもfreeeもどちらも無料で試すことができるため、この機会に検討してみてはいかがだろうか。
コメントを残す