終身雇用が約束されないサバイバルな時代に生まれ、これからは自分の身は自分で守らないといけないと強く自覚している新入社員は多い。
『そんな彼らに必要なものは一体何なのか。』
この部分をどこまで強く意識して育てるかが、新人教育の良し悪しを決定づけることになります。
今回は私が大変お世話になり、今までで最も仕事の教え方が上手だった先輩の秘伝の新人教育法について紹介させていただければと思います。
間違いなく参考になるはずです。
スポンサーリンク
「最速で完璧」を要求する

ゆとり世代は競争を知らないから打たれ弱いといった類の話を時折耳にしますが、彼らは何のために打たれているかわからないから投げ出してしまうのではないでしょうか。
当の本人は己の成長なくして自分の身を守れないことを知っています。
であれば、あなたの要求が彼らの成長に直結しているということを分からせてあげる必要があるのではないでしょうか。
入社から数年も経ては新入社員の中で仕事(成果物)への価値基準が確立されます。
そのため、入社時からどういった基準を求めるかが彼らの今後の成長を大きく左右することになります。
私の先輩は、新入社員の私に対してどんな仕事も「最速で完璧」を要求してきました。
要求している先輩こそ、そんなことできるんかいな??といった声が聞こえそうですが、当然できません。
できないことを敢えて要求してきていたんです。
完璧を求めれば時間が掛かかり、時間を掛けなければ完璧からは遠ざかる。
最速と完璧はある意味相反するため実現することは困難です。
ですが、速さと精度は仕事をする上で重要な要素であるため、これらについては仕事への価値基準が定まる前から高い基準を要求しておく必要があります。
習慣化するまで常に高い目標を要求する。
理想を追いかけ続ける姿勢が身につけば、敢えて要求しなくても自発的に高い目標を追い求めます。
こうなると、放っておいても勝手に成長してくれます。
実際、私もこの先輩の教育のおかげで自分が急成長したことを実感しました。
新入社員は上司の世界観に染まりやすいので、彼らの成長を望むのであれば敢えて厳しい条件を突き付けることはとても効果的と言えます。
尖がった部分をより鋭利にする

要は、長所をより伸ばすということです。
他人に誇れる武器があると自分の存在意義を感じられたり、仕事運びをより円滑にすることができるなど、組織の中で生きる上での利点が多くなります。
新人に雑務を押し付けて下積みさせるというやり方を否定するわけではないですが、そればかりではいつまで経っても武器を身につけることができません。
強みを見出してあげ、早い段階でそれを心置きなく伸ばしていくことが新人教育では大切なのです。
これに反して新人教育には「短所改善のほうが大切」という考え方もあります。
「出来ないことが少ない」ということも強みと考えることはできますが、私はこの考え方に否定的です。
というのも、部下の弱点を組織として補完することが上司の務めであり、個々人が強みを伸ばすほうが組織力の底上げにつながると思うからです。
以前、『三国志や信長の野望から学ぶ「仕事で必要とされる人材」とは』という記事でも紹介しましたが、自分が扱い易い「出来ないことが少ない」丸みを帯びた部下に仕立て上げてしますと、彼らは将来的に戦えるフィールドを失うことになります。
第一線で戦えるのは、鋭利な武器を身につけた人間だけですので、新入社員の市場価値も視野に入れた教育を施すことが大切です。
新入社員から学ぶ

教育をするという立場上、どうしても上から物を言うような感じになってしまいがちですが、私の元上司にはそういった態度は一切なく、常に新人である私から何かを学ぼうとしていました。
こういう姿勢は新入社員にも伝わりますし、とても好感が持てます。
私は個人的に上司や部下といった関係が好きではありません。
どんな仕事も結局は皆が協力し合わないと果たせないわけで、そこに必要なのは上下関係ではなく個々人の知識や経験・スキルといったものです。
同じ組織内であってもそれぞれが自分をプロフェッショナル(個人事業主)と自覚し、お互いのプロ意識を認め合う関係が組織では重要なのです。
そういう見方をすると、新入社員もすでにプロフェッショナルであるため、彼らから学べることはたくさんあります。
教育する立場でありながら実は自分の学びの場であったりするわけで、これに気づいている人は共通して教育が上手な人です。
さいごに
結局のところ、相手の成長をどこまで本気で望めるかというのが教育の成否を決めることになります。
どんなに口先でかっこいいことを言っても、気持ちがなければ相手には響きませんから。
コメントを残す